日本ブリーフサイコセラピー学会

日本ブリーフサイコセラピー学会 第34回 盛岡大会
The Japanese Association of Brief Psychotherapy Annual Meeting

特別講演

特別講演
9月15日(日) 13:00~14:45

バーチャルリアリティが拡張する身体・こころ・人生

講師:
鳴海 拓志(東京大学大学院)

司会:
佐々木 誠(岩手大学)

講師ご紹介:
 東京大学大学院学際情報学部修了。同大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)。
 バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実感(AR)の技術と認知科学・心理学の知見を融合した研究をされています。人間の感覚情報処理の仕組みを解明して、知覚や認知に影響を与えるインタフェースを開発し、それを利用することによって人間の能力やコミュニケーションを拡張したり、社会に応用したりする方法を探求されています。代表的な研究として、味覚ディスプレイ「メタクッキー」、さまざまな形状に触れた感覚を提示する「Perception-based Shape Display」、直進しているかのように感じさせる「Unlimited Corridor」、複数人で1体のアバタを操作させることで人から人への身体運動スキルのコピーを可能にするための研究などがあり、人間の身体や心に新たな可能性をもたらすとともに、新しい文化の創造にも貢献されています。


内容紹介:
 バーチャルリアリティやメタバースでは、バーチャル空間における身体であるアバタを、その外見だけでなく身体構造や機能まで自由に設定することができる。こうした実際の身体とはかけ離れた特性を持ったアバタを操る新しい体験は、自分自身に対する認識を変容させ、感覚、行動、そして発揮能力や思考までをも変容させることが明らかになってきた。講演者は、そのような身体変容体験に伴って現れるこころや自己認識への影響を積極的に活用することで自在なこころのあり方を支援する技術を「ゴーストエンジニアリング」と呼び、研究を進めてきた。本講演では、その研究事例を紹介するとともに、技術やサービスによって自らのこころや能力を即時的に拡張できることと長期的視座から形成される人生の物語(物語的自己)の関係を探る研究についても紹介し、この種の技術が心身のケアや自己実現に与える影響を議論する。

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